【事例研究】特定外国子会社が現地(本店所在地国)で課された加算税、延滞税等の附帯税の取扱い

【Q】 当社の100%海外子会社は現地国での租税負担割合が10%のため特定外国子会社等に該当します。適用除外基準(①事業基準、②実態基準、③管理支配基準、④非関連者基準又は所在地国基準)を満たしていないため海外子会社の課税対象金額が当社に合算課税されています。課税対象金額の計算は次の通りです。

(1) 適用対象金額の計算は現地(本店所在地国)法令により計算します。

(2) 当該海外子会社は前期に現地税務当局の税務調査を受け、過少申告ということで日本の過少申告加算税に相当する金額100万円、延滞税に相当する金額50万円の合計150万円の附帯税を支払っています。これら附帯税を差し引いた1,000万円(邦貨換算後)を適用対象金額として計算しています。

(3) 適用対象金額1,000万円×100%の1,000万円が課税対象金額として当社の課税所得に加算されています。

本事案の疑問点としては、日本法人の課税所得を計算する場合は修正申告等の過少申告加算税や延滞税等は損金とならず(法法55条3項)別表4で加算していますが、一方で、タックスヘイブン税制においては特定外国子会社等の合算所得の計算上、現地国で納付した加算税等に相当する附帯税(上記でいうところの150万円)は差し引いて計算していいのでしょうか。

【A】 特定外国子会社等の適用対象金額は現地の法人所得税を控除した金額になります。この法人所得税には附帯税(延滞税、加算税等)に相当する税その他それに類似した税に相当する税を含みます(以下同じ)。従いまして、特定外国子会社等の課税対象金額の計算は、現地国で納付した加算税等の附帯税を差し引いた金額になります。

当社の100%海外子会社は現地国での租税負担割合が10%のため特定外国子会社等に該当します。
適用除外基準(①事業基準、②実態基準、③管理支配基準、④非関連者基準又は所在地国基準)を満たしていないため海外子会社の課税対象金額が当社に合算課税されています。

課税対象金額の計算は次の通りです。
(1) 適用対象金額の計算は現地(本店所在地国)法令により計算します。
(2) 当該海外子会社は前期に現地税務当局の税務調査を受け、過少申告ということで日本の過少申告加算税に相当する金額100万円、延滞税に相当する金額50万円の合計150万円の附帯税を支払っています。これら附帯税を差し引いた1,000万円(邦貨換算後)を適用対象金額として計算しています。
(3) 適用対象金額1,000万円×100%の1,000万円が課税対象金額として当社の課税所得に加算されています。

本事案の疑問点としては、日本法人の課税所得を計算する場合は修正申告等の過少申告加算税や延滞税等は損金とならず(法法55条3項)別表4で加算していますが、一方で、タックスヘイブン税制においては特定外国子会社等の合算所得の計算上、現地国で納付した加算税等に相当する附帯税(上記でいうところの150万円)は差し引いて計算していいのでしょうか?

特定外国子会社等の適用対象金額は現地の法人所得税を控除した金額になります。

この法人所得税には附帯税(延滞税、加算税等)に相当する税その他それに類似した税に相当する税を含みます(以下同じ)。従いまして、特定外国子会社等の課税対象金額の計算は、現地国で納付した加算税等の附帯税を差し引いた金額になります。

≪検 討≫

1. タックスヘイブン税制は、特定外国子会社等の決算に基づく所得の金額から日本の税法に準拠するかあるいは本店所在地国の税法に準拠に準拠するかを決め、一定の調整を行うことにより適用対象金額を計算し、それに持株割合を乗じて課税対象金額を算出します。

2.  いずれの準拠法を取る場合でも適用対象金額の計算は、まずは各事業年度において納付した法人所得税を加算し(措令39条の15、1項2号、2項8号)、その後のその法人所得税を控除します(措令39条の15、5項2号)。この法人所得税には附帯税(延滞税、加算税等)に相当する税その他それに類似した税を含んでいますので、結果として現地国で納付した加算税等に相当する附帯税は課税対象金額の計算上控除されていることになります。

3. このことは、元々、内国法人が外国で課された罰金又は科料に相当する金額は損金不算入としていますが(法法55条第4項)、外国で課された附帯税に相当する金額については損金不算入の規定がない(法法55条第3項)ことからも整合性が取れているかと思われます。

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